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Team Grimoire vs Laur - Grievous Lady [Taiko]

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Lundlerol
This beatmap was submitted using in-game submission on 2018年7月18日 at 18:15:19

Artist: Team Grimoire vs Laur
Title: Grievous Lady
Source: Arcaea
BPM: 210
Filesize: 3467kb
Play Time: 02:12
Difficulties Available:
  1. Future 10 (6.53 stars, 1064 notes)
Download: Team Grimoire vs Laur - Grievous Lady
Information: Scores/Beatmap Listing
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変則場所変更する可能性アリ。

STORY:
予測できたことだったのかもしれない。彼女の胸は突然痛みだした。

彼女は後ずさりして、口を覆い、その目は混乱に大きく見開かれていた。
彼女は重なり塔となった巨大な苦しみの迷路の中に立っていた。
しかし彼女は今にも膝から崩れ落ちようとしていた。
膝が地面へと着く前に、その構造物は壊れて崩れ始めた。

彼女が集めてきた悲しい日々の記憶がマントのように彼女を覆い、
塔の記憶はゆっくりと降る雨から豪雨へと変わった。
彼女とその迷路は石のように落ちた。
それには恐ろしい高さと速さが伴っていたが、
その時彼女が感じることのできたものは混乱だけだった。

彼女は何処かの幸せの欠片で溢れる海へと飛び込んだ。
彼女と崩れ落ちた迷宮が引き起こした波は計り知れないものだった。
ガラスとガラスが醜いとも美しいとも形容できる様子でぶつかり合い、
彼女はその嵐の中心にひざまずいていた。

彼女は自らの痛みに混乱していた。全てが痛い。心臓が破裂しそうだった。
彼女が集めた記憶のマントは、不気味な球体となって彼女を囲んだ。
白の世界は彼女の視界から姿を消し、ここに残っているのは恐ろしいものだけだ。
呼吸は荒くなり、汗が滲み、体は震えていた。
彼女はガラスの中を、アーケアの中を、深く覗き込んだ。
そして彼女は気が付いた。自分の心が壊れていたこと。

自分の正気が失われていたこと。

さっき見た世界の終わりの記憶が、ゆっくりと視界を漂った。

彼女はこの白い退廃した世界に足を踏み入れてからというもの、沢山の感情を覚えてきた。
怒りを覚えても、彼女はその怒りを少し変わった希望のようなものに変えることができた。
確かに、彼女にはあまり計画がなかった。
実際、彼女はただ前へと歩き進んでいただけに過ぎなかった。
きっとその終わりには何か良いものがあると信じていたのだ。
彼女には希望があった。この混沌の先には光があると信じていた。
遭遇した苦痛も、抱える恐怖も、きっと粉々にできる。

確かに、彼女は感情的だった。そう、本当は、どれにも目的なんて無い・・・
その考えが頭をよぎった時、彼女は強い苦しみを覚え始めた。

もっとも残酷な運命とは、希望を持ち、それを目の前で潰されることだ。
そして奇妙な形をした死の環の中でひざまずく少女は、世界が終わりを迎えるのを見ていた。
これは初めて彼女が悲しみという感情を覚えた瞬間だった。
そしてそれは、一瞬にして絶望へと変わった。

アーケアの世界に、意味などなかったのだ。ここは、死んだ世界の姿だったのだ。
ここには物質はなく、あるのは回想のようなものだけ。
ここに来るまでに時々見かけた、光り輝く楽しい記憶も、過去の記憶に過ぎなかったのだ。
昼の次に夜が来るように、そんな記憶も終わりへと向かう。
彼女は今、目の前でそれが宙でゆっくりと回るのを見ていた。
彼女の目は涙で溢れていた。

目覚めてから、沢山のことを感じてきた。
楽しさ。今はもうない。
恐怖。今はもうない。
怒りももうない。
希望もない。
悲しみや絶望でさえ何処かへ行ってしまった。

目は暗くなり、彼女はガラスと心が共鳴するのを感じた。
彼女を囲む記憶の殻にひびが入り割れ始めた。
彼女はそこから抜け出し眩い光の中に立った。しかし何も感じられなかった。

油に汚れた海のように、呪われた迷宮の記憶と彼女が連れてきた記憶は、
地に落ち溶け合い、穏やかなガラスとなって辺りに散らばっていた。
ほとんどは灰色の塊となり、突然地面から針のように突き出るものもあった。
彼女はただ静かに、ゆっくりとその欠片達を見渡した。ただ…数えていた。
記憶が彼女の目の近くまで針を突き刺してきても、数えることをやめなかった。

しばらくすると彼女は手を少し上げ、破片をいくつか彼女のもとへと招き寄せた。
すると、単純な考え一つでその破片達は一つになり、もろい蝶の形となった。
彼女はそれに空へと向かい、白の世界を映すようにと命じた。
そしてそれが見てきたものを伝えるため彼女のもとへ戻ってくると、
彼女の考え一つでそれはゆっくりと羽を落とし、無へと崩れ落ちた。
そうして彼女は崩壊した海へ向かって歩き出した。
失われた時間の柱が道を阻もうものなら、爆破して粉々にするつもりでいた。

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時は流れた。彼女は変わった。

彼女はもう記憶を集めてはいなかった。ほとんど空虚な心で、世界を歩いていた。
物事や自分についても分かったことがあった。しかし彼女には意思がなかったのだ。

彼女は古くて崩れかかった建物の傍を歩き、ある日廃墟で見つけた傘を回している。
静かに、苦しい日々を映すガラスで形作られた生き物が空から彼女に向かって滑り落ちてきた。
それはキラキラとした、歪な形のカラスのようだった。彼女にとっては、道具以上の何でもなかったが。
あの崩れ行く塔での一日以来、彼女はこの混沌のアーケアとうまく調和できるようになっていた。
だからこういったものも呼び寄せることができるのだ。
そうしてそれは独自の方法で、眩く白い世界の、彼女の手の届かない場所について告げた。
彼女が睨むと、それは爆発してバラバラになった。彼女は歩き続けた。

カラスの知らせにうんざりしていた。この世界は空だ。
皆そう言うのだ。彼女も知っていた。ここで他の誰かを見つけたことがなかった。

見つけたかった。見つける必要があった。運命を共有する誰かが必要なのではない。

この葛藤を生きている何かにぶつける必要があったのだ。彼女には、傷つける相手が必要だった。
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